SCM5100シリーズ

PBIアドバンストマテリアルズ (PBi-am)では、帯電防止性能を備えた微細加工用PEEK素材としてSCM5100シリーズ (Silver PEEKシリーズ) の販売を行っております。SCMシリーズはPBIメソッドを使用した圧縮成形で生産されておりますので、非常に異方性の小さい素材となっております。また、成形による残留応力も非常に小さいため、他社の素材に比べて機械加工時の反りを大幅に低減いたします。

 

 

SCM5130

SCM5100の優れた特性を維持したまま、表面抵抗値のみを106–1010 Ωに調整

SCM5100シリーズは表面抵抗値を109–1012 Ωに調整した帯電防止材料で、帯電した静電気を減衰させる効果を持ちながら導体への接触時に静電気放電 (ESD) や漏電を生じにくい材料としてご好評いただいております。この度、多くのお客様から表面抵抗値106–1010 Ω程度の素材のご要望を多くいただいたため、SCM5100の表面抵抗値を変更した「SCM5130」の開発を行い、販売を開始いたしました。

 

SCM5130外観

 

複数のフィラーを用いた配合比の最適化

ご存じの方も多いと思いますが、プラスチックの表面抵抗値を106 Ω近傍に調整することは非常に困難です。プラスチックは基本的に絶縁性ですので、多くの場合は導電性フィラーを添加してプラスチックに導電性を付与することになります。プラスチックに導電性フィラーを徐々に添加していった場合、添加量に応じて徐々に抵抗値が下がっていきますが、多くの導電性フィラーでは106–108 Ω辺りで抵抗値が急激に変化します。そのため、再現性が得られにくく、この範囲の表面抵抗値の製品を安定的に生産することが難しくなります。

PBi-amでは複数のフィラーを用いて配合比の最適化を行い、安定的に表面抵抗値を再現することができるようになりました。

SCM5130はSCM5100の基礎物性や切削加工性を維持したまま、表面抵抗値のみを106–1010 Ωに調整しております。皆様の表面抵抗値選択の幅が広がればと思っております。

 

 

SCM5130の基礎物性

条件 規格 単位 SCM5130 SCM5100
引張り強さ 23℃ ISO 527 MPa 90 80
引張りひずみ 23℃ ISO 527 % 1.5 1.0
曲げ強さ 23℃ ISO 178 MPa 130 100
曲げ弾性率 23℃ ISO 178 GPa 8.0 8.0
シャルピー衝撃強さ (ノッチ付) 23℃ ISO 179 kJ m-2 1.5 1.2
表面抵抗値 23℃
ANSI/ESD STM11.13
Ω 106–1010 109–1012

 

表面抵抗値について

表面抵抗値は、サンプル形状、表面状態、厚さ、温度等により変化いたします。弊社での測定値は常温で弊社の製品状態で測定した値になります。お客様で部品形状に加工後、特殊な測定条件下で測定された表面抵抗値を保証するものではございませんので、予めご了承をお願い申し上げます。また、製品の保管状態によりましても表面抵抗値は変化する可能性がございますので、併せてご了承をお願い申し上げます。

 

 

 

帯電防止 PEEK複合材料 「SCM5130」 販売開始