2006年5月19日 – プラスチックス成形部品の特殊加工メーカーである佐藤ライト工業株式会社(代表取締役:佐藤利夫、本社:三重県津市)は、同社でカスタマイズ・コンパウンド事業を手掛けるSPLAS(エスプラス)センターにおいて、圧縮成形法により高機能樹脂・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)をベース材料に用いた帯電防止材料「SPLAS ESD PEEK」を開発、切削加工用母材の標準品として平板での販売を開始する。
同社のSPLAS ESD PEEKは、カーボンナノファイバーを添加したPEEKを圧縮成形したもので、ESD(静電気帯電防止)特性として表面抵抗率106~9Ωの半導電性が付与されている。また、同製品はフィラーであるカーボンナノファイバーの添加量が4%以下と少ないことから、切削加工用母材としてナチュラルPEEKと同等の加工性を持つことに加え、圧縮成形品のため母材内部における繊維の配向(添加された繊維が同方向に揃う現象で、ソリの原因となる)が少なく、このため加工後に優れた低ソリ性を発揮するのが特長。同社では、帯電防止特性が要求される、ICチップトレイ、ICウエハガイドやICウエハチャックといった半導体製造装置向けに需要開拓を進めていく方針である。
同社SPLASセンターの南田所長は「当社SPLAS ESD PEEKは、加工に圧縮成形法を用いているため、射出成形法や押出成形法を用いた成形品に見られる、微少な歪みや成形品全体にわたる特性のバラツキが抑えられるメリットがある」と話しており「小ロットの試作品や厳密な物性値が求められる高機能部品、射出成形や押出成形が困難な大型製品といった用途に最適」としている。
同社SPLAS ESD PEEKは、縦横が200mm、厚みは10mm/20mm/30mmの3種類を標準品とし、最大600mm角のサイズまで対応が可能。価格は最小サイズである200mm x 200mm x 10mmの板材で40,000円程度を予定しており、その他のサイズについては個別に対応する。また、要望により丸棒形状にも対応が可能。発売初年度の売上目標は5000万円程度を見込んでいる。
SPLAS ESD PEEK:SCM5500の主な物性値
項目 | 単位 | 規格 | SCM5500 | ナチュラルPEEK |
引張強度 | MPa | JIS K7133 | 90 | 97 |
引張伸び | % | JIS K7133 | 2.4 | 35 |
曲げ強度 | MPa | JIS K7203 | 168 | 170 |
曲げ弾性率 | GPa | JIS K7203 | 4.7 | 4.2 |
シャルピー衝撃値(Notch) | kJ/m2 | JIS K7110 | 2.7 | 8.2 |
表面抵抗率 | Ohms/sq | ASTM D257 | 106~9 | > 1016 |
上記数値は代表値であり、保証値ではありません。